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相馬 康孝; 五十嵐 誉廣
第70回材料と環境討論会講演集(CD-ROM), p.199 - 202, 2023/10
高温水中におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)内部では酸性の腐食環境(クレビス環境)が形成すると考えられることから、SCC挙動を解明するためにはクレビス環境においての腐食挙動解明が重要である。過去にわれわれはクレビス内部の導電率を測定し、すき間腐食が発生する場合としない場合でそれぞれ380S/cm、1600S/cmの数値を得たことから、本研究ではこれらの数値に対応する環境をそれぞれクレビス環境I(pH=4.41)、及びII(pH=3.13)とし、それぞれの環境中におけるFe-xCr-20Ni(x=16.9, 19.8, 22.9, 24.3, 25.9)の腐食挙動を調べた。この結果、クレビス模擬環境Iではすべての合金組成で不働態化が見られた一方、クレビス模擬環境IIではx=16.9、及び19.8で粒界の割れを伴う激しい腐食が見られ、厚い酸化皮膜が形成した。一方、x=22.9以上では酸化皮膜成長は抑制され、明確な分極曲線上に明確な不働態域が形成された。
笠原 茂樹; 福谷 耕司*; 越石 正人*; 藤井 克彦*; 知見 康弘
JAEA-Review 2018-012, 180 Pages, 2018/11
軽水炉の炉内構造物については、構造材料であるオーステナイト系ステンレス鋼の中性子照射による経年劣化を評価・予測した上で、健全性評価を行う必要がある。そのためにはステンレス鋼の物性値の照射量依存性等の知見が不可欠である。照射材の物性の代表値や最確値等を議論するには既往データの整理が有効であり、その際、炉内構造物の使用条件が異なる沸騰水型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉を明確に区別し取り扱うことが重要である。本調査では、照射ステンレス鋼の材料特性を評価した公開文献を網羅的に収集し、データ集を作成した。作成にあたっては、BWRに相応する温度や中性子照射等の条件をスクリーニングの基準として照射データを抽出するとともに、化学成分, 加工熱処理等の材料条件, 照射条件及び試験条件を調査した。これらのデータを物性値ごとにデータシートへ収録し、データ集として整備した。
相馬 康孝; 小松 篤史; 上野 文義
材料と環境, 67(9), p.381 - 385, 2018/09
高温高圧高純度水中におけるステンレス鋼のすき間内で発生する局部腐食現象のメカニズムを解明するため、すき間内溶液の電気伝導率をIn-situ測定する手法(センサー)を開発し、すき間内環境と局部腐食との関係を分析した。センサーは、高純度アルミナで絶縁した直径約250mのステンレス鋼製電極をすき間形成材に埋め込み、電気化学インピーダンス法により、電極直下における局部的な溶液の電気伝導率、を取得するものである。SUS316Lステンレス鋼のテーパー付きすき間内に複数のセンサーを設置し、温度288C、圧力8MPa、純酸素飽和した高純度水中において、の時間変化を100h計測した。すき間幅約59.3mの位置ではは8-11S/cmであり、試験後に局部腐食は見られなかった。一方、すき間幅約4.4mの位置におけるは、実験開始直後から上昇を続け、約70hで最大値約1600S/cmを示し、試験後にこの位置近傍で粒界を起点とした局部腐食が発生したことを確認した。の最大値約1600S/cmは熱力学平衡計算によりpH約3-3.7に相当した。以上のことから、バルク水が高純度であってもすき間内においては溶液の酸性化が進行し、その結果、局部腐食が発生したと結論された。
勝山 仁哉; 山口 義仁; 根本 義之; 加治 芳行; 逢坂 正彦
Transactions of the 24th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-24) (USB Flash Drive), 11 Pages, 2017/08
東京電力福島第一原子力発電所のような沸騰水型原子炉(BWR)のRPV下部ヘッドは、形状が複雑で多数の制御棒案内管が存在するため、その破損挙動は複雑である。そこで我々は、重大事故時のBWR下部ヘッド破損について、クリープ損傷機構を考慮した熱流動構造連成解析に基づく評価手法を整備した。本研究では、事故シナリオの違いを想定し、溶融デブリの深さや発熱位置の違いが破損位置に及ぼす影響について評価した。その結果、BWR下部ヘッドの破損やデブリの流出は、貫通部における制御棒案内管やスタブ管で生じることを示した。
小原 浩史*; 五十嵐 登*
PNC TJ8164 96-009, 261 Pages, 1996/09
沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor,BWR)商用炉で照射した使用済み燃料被覆管せん断片(ハル)を不活性ガス気流中で圧縮・減容し、発生するジルカロイ微粒子(ファイン)及び気中に移行する放射性核種に係わるデータの取得試験を実施し、以下のような結果を得た。(1)酸洗浄後のハルの内面には、ウラン、セシウム等の核分裂生成物が付着している領域が認められた。(2)ハル外表面最大酸化膜厚さは3060mで、文献データと同等の範囲であった。(3)ハルの圧縮時に発生したファイン重量は約0.20.3gで、圧縮したハルの重量(約3233g)の0.51.0wt%であり、燃焼度の増加に伴なって多くなる傾向が認められた。(4)3233gのハルを圧縮した時に気中に移行したファインの重量は、1mg以下であった。(5)ハルの圧縮時に発生したファインの粒径は1m以下のものから100m以下のものまで観察された。発生したファインの粒径は1m以下のものから100m以上のものまで観察された。発生したファインの粒径別個数頻度では10m以下のものが大半であった。(6)電子線微小分析装置(Electori Probe Micro Analyzer,EPMA)による観察結果では、ファインは全て酸化物と推定された。(7)ハル中のトリチウムの吸蔵量を、ORIGEN-2コードを用いた計算による燃料中の生成量の60%と仮定した時、ハルの圧縮時に気中に移行するトリチウム量は、圧縮したハルのトリチウムの吸蔵量の10^-3%以下であったが、燃焼度の燃焼度の増加に伴なってわずかに大きくなる傾向が認められた。
萬金 修一
JAERI-M 82-079, 164 Pages, 1982/08
沸騰水型原了炉プラントの定常制御、負荷追従制御性能を改善する為に最適制御理論を適用し、新しい制御方式を開発した。〔制御方式ケース〕ほ、まづ最適線形レギュレータを構成した後、1つの積分要素を帰還系路に付加すると共に要求された出力レベルに適応したゲインと目標値を可変に用いる方法である。〔制御方式ケース〕は第1レベルに古典的なP,I型のサブループ制御系を、第2レベルに最適線形レギュレータを持つ階層構成であり、この制御系は第1レベルの従来のサブループ制御系を含めて同定実験から得られる多変数自己回帰型モデルに最適線形レギュレー夕理論を適用して設計する。シュミレーション実験の結果、これらの制御方式は良好な制御性をもち、原子炉プラント制御の改善に有効である事が示された。なお、これらの方式はいわゆる「理論と実際のギャップ」に発生する問題の解決を考慮して開発したものであり、他の生産プラントに対しても適用性があると考えられる。
成島 勇気*; 阿部 豊*; 金子 暁子*; 金川 哲也*; 鈴木 貴行*; 吉田 啓之
no journal, ,
BWR炉心溶融時におけるジェットブレイクアップ長さの把握は過酷事故対策の観点から必要不可欠である。本報告では、数値解析コードの妥当性評価のため、ジェットブレイクアップ長さに関する実験データを取得すると同時に、構造物がジェットブレイクアップ長さに与える影響について検討した。その結果、ノズル径が大きく構造物の影響が大きいと想定される条件においては、ブレイクアップ長さが長くなる傾向を示した。したがって、構造物の存在により、ブレイクアップ長さは長くなることが確認できた。また、得られたブレイクアップ長さの時間平均値については、既存の相関式を用いて予測できる可能性があることが分かった。
吉川 信治; 佐藤 一憲
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の事故時に、1号機及び3号機は減圧以前に炉心損傷が開始したと考えられるのに対し、2号機では減圧時には炉心は健全であり、水位が炉心下端(BAF)付近、あるいはそれ以下にある状態から炉心損傷が始まったと推定される。このような2号機特有の炉心損傷開始時の炉心の昇温挙動について、RELAP/SCDAPSIMコードによる解析結果をもとに分析した。
石橋 良*; 廣坂 和馬*; 柴田 昌利*; 佐々木 政名*; 根本 義之
no journal, ,
炭化ケイ素(SiC)製燃料被覆管には事故時に高い耐熱性を期待している。強度上の課題となりうる端栓接合部に対して事故時を想定した高温荷重に対する健全性の評価を目的に、解析により荷重負荷時の端栓接合部での変形挙動に及ぼす製造時における詳細構造寸法のばらつきの影響を検討した。その結果、接合材料を十分に充填することによって、想定される加工精度の範囲で間隔が大きくなっても、事故時の内外圧差8MPa程度に対応する荷重よりも高い強度を得る結果が得られた。
野呂 純二*; 阿部 雄太; 山下 拓哉; 松島 朋裕*
no journal, ,
原子力機構では、BWRのシビアアクシデント(SA)事故時に制御ブレード及び燃料ロッドが溶融落下した際に生ずる炉心物質の崩壊・溶融・移行挙動を調査するため、模擬燃料集合体のプラズマ加熱試験を実施している。本報では、コンクリートの劣化診断などで広く使われている広範囲EPMA(WDX)に着目し、模擬燃料加熱試験(CMMR-0)試験体を対象に、酸素及びホウ素濃度分布を測定し、その妥当性をLA-ICP-MS等の定量分析で評価した。
阿部 雄太; 中桐 俊男; 佐藤 一憲; 中野 菜都子*; 山口 英信*
no journal, ,
原子力機構では、加熱技術及び試験後の分析技術の適用性を確認するため、BWR炉心の基本構成要素からなる模擬燃料集合体を製作し、プラズマ加熱試験(Phase II)を実施した。本報では、Phase II試験体のX線CT及び元素分析(EPMA及びLA-ICP-MS)の結果について報告する。